2、血液検査
血液検査は、医療機関や通信販売(デメカルというものがあります)、献血、その他の方法で計る事が出来ます。
通常は有料ですが、献血をすると分析結果が無料で送られてきます。400cc か成分献血、または 200ml 献血がありますが、検査内容は前者の方が多いです。
検査内容は医療機関に依頼する方法が多くのデータが得られますが、日にちが数日掛かる事もあるので運動中に簡易な方法で計る場合もあります。
そのため、長い期間で捉えるものと、必要に応じてすぐに検査できる方法を組み合わせるのも良いでしょう。
運動の目的が健康増進や成人病予防などの場合は、主に血糖値(または HbA1c)、中性脂肪、コレステロールなどを見ることが多いです。
競技スポーツやトレーニングの場合は、成績の向上にむけ上手に使えるかどうかが重要なポイントになります。
いかに書かれている内容は、献血等の検査では行われないものも含まれています。
検査項目の後の数字は標準値です。正常または異常を表すものではありません。医療的に不明な場合は医療機関にご相談ください。
項目はなるべく分かりやすく分類したため、医学的根拠とは異なる場合もあります。
血液一般検査(血球係数検査)
赤血球に関するもの
赤血球数 RBC 男性 425~570、女性 375~500 * 10四乗/ul
ヘモグロビン Hb 男性 13.3~17.4、女性 11.2~14.9 g/dl
ヘマトクリット値 Ht 男性 39~50.4、女性 34~44 %
平均赤血球容積 MCV 80~100 fl
平均赤血球ヘモグロビン量 MCH 26~34 pg
平均赤血球ヘモグロビン濃度 MCHC 32~36 %
有酸素系の能力や貧血、イライラ度などをみます。
有酸素運動の能力は長距離走以外では必要ないと安易に考えがちですが、簡単に言うと、スタミナがあれば冷静でいられます。
これらの指標が低い場合は集中がしにくくなりやすく、ゲームに弱くなったり質の良いトレーニングの継続がしにくくなったりすることに繋がります。
それぞれの検査項目で様々な見方や内容が含まれますので、医療的に不安のある方は医療機関に相談し、運動やトレーニングとして捉える場合は専門家に相談してください。
白血球数 WBC 35~100 * 10二乗/ul
怪我をしていなくても障害(筋破断や腱の微細な障害)がある時に増えます。これが高いと筋挫傷(肉離れ)の可能性が高くなります。他に感染症に掛かっている場合なども増えます。怪我や病気からの回復や復帰の目安にもなります。
血小板数 PLT 14~38 * 10二乗/ul
これはそれほど重要な指標にはなりません。
生化学検査類
ALT(GPT) 5~45 IU/l
AST(GOT) 11~37 IU/l
γ-GTP 10~65 IU/l
肝機能データとも呼ばれ、疲労度の目安になります。これが恒常的に高い場合は、運動による疲労が溜まっていると考えられます。
AST が特に高い場合は、筋挫傷(肉離れ)や心筋梗塞などの可能性が考えられます。
アルコールの摂取に因り高くなる場合もあり、その際はアルコールの摂取を減らしましょう。
クレアチンフォスキナーゼ CPK(クレアチンキナーゼ CK) 男性 40〜200、女性 30〜120IU/l
これは ATP エネルギー回路に必要な酵素で、骨格筋や心筋に多く含まれます。
強度の強い運動をすると多く出る為に、疲労度が計れます。これが高くなると筋挫傷(肉離れ)の可能性が増えます。
尿酸脱水素酵素 LDH(LD) 200〜400lU/l
LDH は解糖系のエネルギー変換に必要な酵素で全身に分布していますが、心臓や肝臓やその他の臓器や、骨格筋に多く含まれています。そレラの部位に損傷があるとこの数値が上がります。
尿素窒素 BUN 8〜20mg/dl
クレアチニン Cre 男性 0.7〜1.4、女性 0.5〜1.1mg/dl
主に腎機能を表します。BUNが高い場合は、運動後のタンパク質の摂取のタイミングが遅いとなりますので、早めに摂る様にします。
この数値が高いときはタンパク異化作用が進んでいると考えられます。
血中蛋白質(血中タンパク質)に関するもの
総蛋白 TP 6.5~8.2 g/dl
身体の全体の栄養状態などの確認が出来ます。
この数値が低いままでは筋肥大に必要なタンパク質が足りていないとなります。
運動選手や、肥大時などはこれが高い数値(7.5以上)にあることが好ましいです。
アルブミン ALB 3.9~5 g/dl
血清蛋白の多くを占めるアルブミンは病気などで下がります。健康診断の判断として意味合いがあります。
アルブミン対グロブリン比 A/G 1.2~2.0
健康状態が悪いとこの比率は低下します。
血中脂肪等に関するもの
これらの数値が標準値より高いときは、軽度な運動から行う事が好ましいです。
中性脂肪(トリグリセライド) TG
中性脂肪は運動のエネルギーとして使われますが、使われなかった分は肝脂肪や体脂肪として蓄えられます。
これが高すぎると様々な成人病の原因となる場合があります。
植物性油脂:動物性油脂を1:1で摂る事と、その動物性油脂も動物とさかな類を1:1で摂ると良いと考えられています。
コレステロール CHOL、T-Ch 110~250mg/dl
血清脂質の一種で脂質の多い食事により上昇します。コレステロールは悪い様に考えられていますが、これは細胞膜やホルモンの原料として、身体に必要なものです。
HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)、VLDH(超悪玉コレステロール)のバランスを見る場合もあります。
http://hisajp.com/2008/11/post_120.html
善玉、悪玉と呼ばれていますが、悪玉が悪い訳ではなくてそれぞれの役割が異なります。
LDL はコレステロールを体内に運ぶ役割、HDL は使われないコレステロールを回収する役割で、LDL、HDL自体はトラックのような働きをします。
リン脂質 PL
リン脂質は脂質の一種で牛乳に多く含まれていて、コレステロールの低下に働くと考えられています。
有離脂肪酸 FFA
糖尿病からの観点でインスリン抵抗性などで研究が進められています。
糖代謝に関するもの
血糖 Glu
血糖が低すぎると運動活動が弱くなり、また集中力が途切れます。高血糖の場合は糖尿病の恐れがあります。
ハードな運動やトレーニングをすると筋グリコーゲンが使われるので、筋分解を防止する為には糖質の速やかな補充が必要になります。
これは有酸素運動でも重要で「痩せたいから運動後に栄養を摂らない」というのは間違っています。
なるべく脂肪だけを減らしたいときは、筋分解が起こらないだけの摂取が必要です。
ヘモグロビンエーワンシー HbA1c
ヘモグロビンは鉄を含む「ヘム」と、タンパク質の「グロビン」で構成されます。
グロビンは3種類あり、HbAが97%、HbB が1%弱、HbCが 1% 未満です。
ヘモグロビンは 120日間くらい使われますが、その間に血糖(グルコース)と結合します。結合してすぐの状態を「不安定型HbA1c」とよび、それが数日経つと「安定型HbA1c」に変わります。
その安定した状態の期間がどの程度あるかを調べるのが HbA1cです。これにより過去半年間くらいの期間の血糖値の量が分かります。
これが高いと糖尿病に繋がります。
逆に運動時や特に筋肥大トレーニング時にこれが低いと充分な筋合成が出来ないという、その目安になります。
(2009年3月より、献血の検査項目に糖尿病の指数が入ることになりました(血糖値、または HbA1c)。肝機能の一部に替わります)
貧血に関するもの
運動やトレーニングは酸素の消費量が高いので、貧血を改善する事が良い成績に繋がります。
特に、長距離走選手、女子選手、夏場、減量時は貧血の度合いが高まります。
女性は月経があるため、男性より貧血の要因が高いです。
また、上記「赤血球に関するもの」に記した様に、長距離走以外でも重要で、集中力を左右しますので、そちらもご覧下さい。
貧血の改善は半年くらいの期間が掛かる為、日頃の管理が重要です。
ビタミンB12欠乏症
貧血の要素を表します。ビタミン B12 は動物性タンパク質にのみ含まれており、それが不足すると赤血球の合成がうまくいかないためと考えられます。菜食主義の場合になりやすいです。
血清鉄 Fe 男性 54〜200、女性 48〜154μg/dl
貯蔵鉄
血清鉄は赤血球の元となるの血色素の原料です。
貯蔵鉄は鉄分を貯蔵するタンパク質です。
これらは貧血では下がりますが、癌や消化器官からの出血などでは高値を指します。
そのため、消化器官からの出血では高値をさすが貧血、という事もあり得ます。このような場合は医療機関に相談してください。
総鉄結合能 TIBC 290〜355μg/dl
これは相対的な数値な為、鉄分が不足すると高値を指します。
その他
血中乳酸濃度
専用の機械を使って計ります。有酸素運動のトレーニングに使うことが多いです。
参照:
赤十字献血センターで献血の際に後日送付される「検査成績のお知らせ」
平石高久著 ベースボールマガジン社
アスリートのための血液成分別肉体改造処方箋―スポーツに合った血液をデザインする
医学書等
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