ようやく音楽を聴けるようになった。
嫌な思いをすると気持ちが緩むのに時間がかかる。それが強烈なほど元に戻るのに時間がかかる。
男の42歳の厄年というのはそれ自体は迷信だろうが、大体そのくらいの年齢になると、歳をとる事で体調が変わったり、何か仕事や人生でつまずいたりする機会が増えるのだと思う。
その前に前厄があり、後厄もあるから、全体を入れると結構引きずるような気がする。
(厄年という考えは日本だけではなく、様々な宗教や国で同じような考えが少なくはない)。
私は元々は音楽を目指していてそれで飯を食っていたのだが、ある時、演奏に対する真摯さが回りのミュージシャンよりも遥かに低く感じ、演奏を止めた。
それから P やったりエンジニアをしたり、舞台の裏方をしていた頃もあったが、20年間くらい続けたが結局辞めた。
辞めたのが前厄の頃だった。
人の身体を見始めたのはそれと重なっていた頃から始め、向いているのか、これは真摯に続いている。しかし不思議な二足わらじだったと思う。
音楽を辞めてから先は本当に音楽に触れていなくて、触りたくもないし聞きたくもないという感じだった。
CD すら買っていなかった。
あまり話したり書いたりしないのはその為だ。
ここになって、ようやく音楽を聴けるようになった。
聞いているのは以前に買った CD がほとんどで、
「ああ、あの頃はこんなことしていたんだ」
と浸っているような状態だ。
今日090901、NHK で爆笑問題さんの坂本教授との対談番組があったが、教授は NY で 911 (セプテンバー・イレブン)に居あわせたらしく、
「その時は恐怖で身体が動かない、泣く事すら出来ない。
3週間くらい経って締め切りが近づいていたので嫌々臨んだら、音楽に触れて身体が緩んだ」
という内容で話されていたが、音楽は、自分から触らないと触れないものなのだろう。
触るとそれですべての固まったものを、一度に溶解させるくらいの力があるのだが、何かのきっかけがないと、それまでがすごく重い。
どこか病んでいたのだと思う。
楽になってみて、楽とは楽なんだなあと、つくづく感じる。
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