メタボ健診 関連業界だけが太るのでは

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2008年4月3日(木)1時57分配信 読売新聞

 「メタボ」が、おかしな形で肥大化することにならないか。

 新年度から、40〜74歳の約5600万人を対象とする「特定健診・保健指導」が始まった。

 内臓脂肪の過多に高血圧、高血糖が加わった「メタボリック・シンドローム」(内臓脂肪症候群)を防ぐことが目的だ。すでに「メタボ健診」という呼び名が定着しつつある。

 医薬品・健康業界は「メタボ予防」を唱え、商機と見ているようだ。だが、メタボ市場を太らせるような健診にしてはならない。

 メタボ健診はまず腹回りを測定する。男性で85センチ以上、女性で90センチ以上ある人をふるい分ける。さらに血糖、コレステロール、血圧が基準値を超えるなどした場合は、食生活の改善など保健指導を受けさせる。

 厚生労働省は、これで脳卒中や心筋梗塞(こうそく)といった生活習慣病を減らし、年間2兆円の医療費を削減できる、と目算している。

 健診の主体は、国民健康保険を運営する市町村や企業の健保組合だ。企業健保は、従業員の配偶者などの健診にも責任を持つことになる。専業主婦が健診を受ける機会が増えるだろう。

 保健指導によってその後の医療費がどれだけ減るか、といったデータが蓄積されていけば、医療政策にも生かせる。

 一見すると結構ずくめのようだが、疑問点もまた極めて多い。

 まず、生活習慣病予備群と判定される"メタボ基準"に、医学界から強い異論がある。

 たとえば、男の腹囲基準85センチは日本人男性のほぼ平均値だ。高コレステロールとされる値など各基準値も厳しすぎる、との指摘がある。日本人間ドック健診協会が、受診者データにメタボ基準を当てはめたところ、5割が「医療機関の受診が必要」になった。

 逆に"病人"を増やし、投薬などで医療費が膨らむ懸念をぬぐえない。読売新聞の調査で、メタボ基準の策定にかかわった研究者の多くが、製薬企業から寄付金を得ていることも判明した。これでは基準の妥当性を疑われよう。

 メタボ健診への取り組みぶりは市町村国保や企業健保の財政にも影響する。受診率などが低い国保や健保は、ペナルティーとして、高齢者医療費の分担金を多く負担しなければならない。保険者に本腰を入れさせるためとはいえ、やりすぎの感が強い。

 厚労省は、基準や制度を柔軟に見直していくべきだ。

http://news.nifty.com/cs/headline/detail/yomiuri-20080402-00811/1.htm

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