「夏バテにウナギ」は間違い。疲労対策医学博士に聞く、正しい回復法・NG回復法

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2014年8月2日(土)12時5分配信 マイナビウーマン

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「夏バテにウナギ」は間違い。疲労対策医学博士に聞く、正しい回復法・NG回復法

ああ、暑くてもうぐったり、ウナギでも食べて元気を出さなくちゃ......と思う人は多いはず。「ちょっと待ってください。夏バテ対策にとウナギを食べても疲労回復にはなりません」と、国家プロジェクトとして疲労対策について最新の研究を続ける、大阪市立大学大学院疲労医学講座の梶本修身(おさみ)教授は、ずばり指摘します。
そこで、これまで常識のごとく伝えられてきた「夏バテ対策の真偽」についてお尋ねしました。


■「栄養ドリンク」、「牛乳」、「熱い風呂」も間違い

Q1 「夏バテ対策に、ウナギやハモ、焼き肉を食べる」のは良い方法ですか。
梶本教授 ×です。夏に疲れたら、それらのいわゆるスタミナ食を食べようとよく言います。でも、スタミナ食で疲労回復効果が認められたという研究結果はありません。
どうしてウナギがスタミナ食だと言われてきたかと言うと、戦後すぐごろまでの食料が不足していた時代の名残だと考えられます。当時はエネルギー不足による疲労が深刻でした。ビタミンAやB1が豊富に含まれるウナギは、栄養不足、脚気などの予防に良いとされていたのです。

また、ウナギは脂質が多くて高エネルギーですから、その時代には疲労回復につながり、重宝されたのでしょう。
しかしながら、食に困らずカロリー過多が問題視される今の時代は、スタミナ食をとることでむしろ胃の負担が大きくなり、余計に疲れてしまいます。アルコール摂取量も増え、さらにカロリー過多、疲労が蓄積します。


Q2 「疲れたら、市販の栄養ドリンクを飲む」と、回復しますか。

梶本教授 ×です。栄養ドリンクを飲むと、「頭がしゃきっとした。目がさえて元気が出た」という感想をよく耳にしますが、それは錯覚です。ドリンクに含まれるカフェインによる覚醒作用、微量のアルコールによる気分高揚作用に過ぎません。
また、「タウリン〇ミリグラム配合!」などと宣伝する製品が多いですが、現在のところ、タウリンに疲労回復効果があるという科学的実証はなされていません。

スポーツ選手が試合直前に飲む、徹夜で仕事するときなどに利用することはできるでしょうが、あくまで一時的な作用です。本質的な疲労対策にはならず、疲れをごまかしている分、ゆっくり休まないと余計に疲れが蓄積することになります。


Q3 「疲れてイライラしたら、牛乳を飲むと良い」のは本当ですか。

梶本教授 ×です。イライラするのは、自律神経のバランスの乱れによる疲労のサインです。「そんなときはカルシウムをとった方がいいから牛乳を飲んで」と言われますが、カルシウムが不足してイライラするという実証はありません。
脳でカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが補給されて必要量を維持します。それが不足して脳や神経に影響が出るというのは、全身がかなり危機的な状況にある場合です。

また、「寝る前にホットミルクを飲むといい」ともよく言いますが、カルシウムを補うからではなく、胃が温められることでリラックスに働く副交感神経が優位になるからでしょう。


Q4 「精神的疲労のときは熱い風呂に浸かる」と回復しますか。

梶本教授 ×です。温泉で熱めの湯にざぶんと浸かり、「ああ、いい湯だなあ」と思う人は多いでしょう。
しかしながら、「熱い風呂からあがった体には、入浴前に比べ、血液中の疲労因子の割合が高まる」という実証データがあります。
熱めの湯に入ると、脳で快感物質が分泌されるので、疲労感が吹っ飛んだと勘違いします。実のところは、余計に疲れているのです。
人間の体は、上半身を温めると交感神経が、下半身を温めると副交感神経が優位になります。また、血流が促されると疲労は回復に向かいます。ですから、38度~40度ぐらいのお湯に10~15分ほどの半身浴をして血行を良くするようにしましょう。

ここで梶本教授は、お勧めの疲労対策法をこう説明します。
「まずは、睡眠を十分にとること。次に、イミダペプチド(イミダゾールジペプチド)という成分を含む食品を毎日とることです。イミダペプチドとは、医学的に疲労対策効果が証明されている成分で、鶏の胸肉やマグロ、カツオの尾ひれに豊富に含まれています。
これらを100グラム食べるとイミダペプチドを200ミリグラムとることになります。これを毎日、2週間継続して摂取してください。食事でとれない場合はサプリメントもあります」

これまで夏バテ対策だと思い込んでいた方法はことごとく錯覚であり、間違いだったと証明されているとのことです。適切な方法を選び、しっかりと疲れを克服したいものです。
(海野愛子/ユンブル)


取材協力・監修 梶本修身氏。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。医師。医学博士。国家プロジェクトとして疲労対策の研究を続ける。著書に『最新医学でスッキリ! 「体の疲れ」が消える本』、『間違いだらけの疲労の常識 だからあなたは疲れている』(永岡書店)。
『ためしてガッテン』(NHK)、『たけしの家庭の医学』(テレビ朝日)、『世界一受けたい授業』(日本テレビ)ほかメディアに多数出演、分かりやすい解説で知られる。

http://news.nifty.com/cs/item/detail/mnwoman-20140802-mw3311746/1.htm

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