姿勢と気の流れ11 身体の前後バランス-1

| コメント(0)

 人間が立っていられる理由、動ける理由

 人間は立って静止している時は静的バランスが中立で、そのため停止していられます。
 この重心を前側にずらす事で前方へ歩きます。後の場合は後方に重心をずらします。
 左右の方向に動くカニ歩きも同じで、重心が左右のどちらかへずらす事で移動します。

 前後歩きだと着地している方の足は 100% の体重を支え、遊脚(空中にある脚)の荷重は 0% で何も支えていません。
 同様に右側にずれるとしたら右脚だけで体重の 100% を支えていて、クロスしている最中の遊脚の荷重は 0% です。
 1% でも荷重が残っているときは、その足は浮かないのです(これを突き詰めていくと動作がすごく改善されます)。

 重心のずらす幅が小さい時は、移動速度は遅くなります。
 ずらす幅が大きいと早めに遊足を着地させないと転んでしまうので、交互に早く着地させていると、やがて走る事になります。


 このように人間は重心の崩れを使い重力を利用して動くので、エネルギーが少なくて済みます。
 4つ足の動物の場合は、重心位置は人間の様に足の外側にずれる事は無いので、筋力で動く割合が高くなります。


 止まっているときは足裏の前後長以内に重心位置が収まっていないとなりません。そうでないとどこかへ動いてしまいます。

 その前後中立位置が悪いと動いてしまうので、そういう人は力を入れてバランスを合わせる様にしないとなりません。
 こういう立ち姿勢のバランスは大きな力が要らないので主に遅筋が使われます(後述、「サイズの原理」参照)。

 しかし本来なら何も力を入れずに立っていられるものが、力を入れないと立っていられないと言うのは、無駄な力の発揮と言えます。
 無駄な力といっても、自分が意識して行う様な力の発揮ではなく脊髄反射で自働的に行われているために、自分では力を出しているとは感じない場合も多いと思います。

 しかしこのような無駄な力が大きくなると筋肉は常に働いている事になるので、緊張が継続すると固くなったりします。
 または元々力が入っている上に急な動作が加わるとその部位の速筋が動員されるため、特定の部位が肥大したりするのではないかと考えています。
 やがてこういう事が筋の腱化にも繋がるのかもしれません。


(サイズの原理とは?)  ぐーぐる
 筋肉が働く際は「サイズの原理」と言う法則にのっとり、小さい力の発揮のときは小さい筋肉から使われます。これは省エネに役立ちます。
 厳密には小さいと言うよりは、小さな単位で働ける筋肉と言う方が正確でしょう。そしてこれらは主に遅筋です。

 何かに足が引っかかって転びそうなときは、「サイズの原理」を無視して速筋が急に収縮して、安全を保ちます。
 高齢者の方が若者と較べ転びやすいのは、そのような急な動きを行うだけの筋量が不足しているためと考えられます。
(続く)

2014/9/28 改訂
2009/4/9 初版

コメントする

アイテム

  • grapefruit_half.JPG
  • banana200g.JPG
  • bread120g.JPG
  • rice160g.JPG
  • rubber.JPG
  • 080824bf.JPG
  • 090311dounyuukyoudo.jpg
  • 090312honkakukyoudo.jpg
  • 090313itarumeyasutomosikizu.jpg
  • 090515_kinhidai_no_mosikizu.png
  • 091006kinsyu_to_ketuatuhenka.png
  • physical_level.png