初めての本格的なレジスタンストレーニング 9、筋肥大のメカニズム2

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内分泌系(ホルモン)

 さて、次が内分泌系(ホルモン)の働きである。
 現在はこれが筋肥大の原因の 50% 以上を占めると考えられている。

 筋にタンパク質の合成を促すものは、アナボリック(同化)ホルモンと呼ばれる。
 反対にタンパク質の分解を促すものは、カタボリック(異化)ホルモンと呼ばれる。
 これらにはホルモンだけではなく、ホルモンに近い性質を持つようなものや因子まで含まれる。

 ホルモンはそれぞれの器官から放出されるが、それだけでは働かず、受容体(受け手)があって初めて働く。
 またそれぞれが連鎖して働く。


 いくつか代表的なホルモンを書く。


 インスリン

 「肥る」と間違って解釈されているインスリンだが、それが働かないと栄養は細胞に取り込まれない。
 健康な人は食事をして血糖値が上がることでインスリンが放出され、それにより筋肉内にグルコースやタンパク質が取り込まれ、筋グリコーゲンやタンパク合成を促す。
 これが適切に作用しないと筋は大きくなれない。

 日本人に多い二型糖尿病は、簡単に言うと肥った結果インスリンが出にくくなる病気だ。
 栄養過多な食生活を続けていると、その栄養を吸収する為にインスリンがたくさん放出されるが、そういうことを続けているうちにインスリンの放出を司る膵臓が疲れてしまい、インスリンが放出されにくくなり、栄養(血糖)が血中に漂っている状態となり、糖尿病となる。

 これを混同してはいけない。


 テストステロン(性ホルモン)

 次にテストステロンがある。いわゆる男性ホルモンである。
 男性だけにある物ではなく、男性に多く発見されたからそういわれている。
 男性に多く女性に少なく、女性は部位や年齢によっても違う。 

 男性の場合は強度な運動により急性で分泌が増え、またそれを続けていると運動をしていないときの血中濃度も高まる。

 女性の場合は、男性の 1/20 位といわれており、また、トレーニングによる変化は少ない。

 しかし、
 「女性は筋肥大が男性と較べ少ない」
というのは私はあまり気にしていなく、必要な強度をすれば男性と同じような、または8掛けくらいで進むと感じている。

 http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080523_bodybuilding_too_far/
( thanks mr. gai)

 このくらいになっても女性の筋肉量は男性より少ないのが、そうしたい女性が多いと思えなく、ここに至る前に終わっているので何とも言えない。
 ただし最終的な肥大度は男性よりも少ない気もするが、そのため性差がそれほど大事な要素なのかと言うと、そうは思えない事もある。


 成長ホルモン

 成長ホルモンは、タンパク質の合成を促し、脂肪を分解し、それぞれに対し逆の作用をするものもある。

 日の中での変動が多く、通常誰もが寝た直後の血中濃度は、平時の 50 ~ 100 倍程度になる。
 また、全身を使う複合種目(デッドリフトやスクワット等)を 10RM 強度で 3sets 程度行うと、3RM や 20RM の強度のトレーニングと比べ、その途中から後に掛け、はるかに多い量が分泌される。

 ただし、成長ホルモンを筋だけに限ってみるとカタボリックに働くという研究結果もあるようだ。
 また、脂肪分解の要素が強いため、上記の強度の運動を行うことで体脂肪の分解が進みやすい。


 成長因子

 成長因子はホルモンではないが、各器官から分泌され細胞の成長を促す働きをし、多数ある。
 筋合成に関連の深いものに インスリン様成長因子-I(IGF-I)がある。
 これはインスリンに似た構造をし、肝臓と筋線維自体から分泌される。

 肝臓は、成長ホルモンの刺激を受けると IGF-I を血中に放出し、ホルモンとして筋に作用する。
 また、強度なトレーニング等の活動をした筋線維自体も IGF-I を分泌し、自己や周囲の細胞に働きタンパク動作作用を促す。


 カタボリック(異化)ホルモン

 カタボリック(異化)ホルモンは副腎皮質から放出されるグルココルチロイド系(コルチゾール、コルチゾン)が代表的だが、これはエネルギー欠乏時や身体が強いストレスを受けたときに放出され、筋に対してはタンパク質や糖質を分解しエネルギー化させる働きをする。


 ホルモンは様々に放出される

 これら筋の合成/分解のそれぞれの作用をするホルモンは、反対の性質を持つものが同時に分泌される場合もあり、それらが総合的に働く。
 筋が活動するときにはタンパク質をエネルギーとする場合もあり、それが適度にないと活動強度が弱まる場合もありえるため、筋合成だけに働くホルモンが出れば有効なのかというとそうでもない。
 また、成長ホルモンにしても、それが出ないと IGH-I も肝臓より放出されにくいと考えられる。

 ホルモンは何かの行為をし、一つ目が出て、二つ目が出て、三つ目が出て、というような連鎖反応となる。
 
 
 
 筋の直接的な刺激

 筋への直接的な刺激の必要性は元々言われていたこともあるが、内分泌系の働きをみる前と今では見解が異なるように思う。 
 直接的な刺激とは、要するにその部位を使うトレーニングである。

 ホルモンを受け取る受容体は、その肥大させたい筋そのものが動いていないと、有効には働かないのではないかと思われる。
 また IGF-I の様な因子は、筋への直接刺激で筋自体が放出することが筋肥大へ有効に働くと考えられる。

 これらを期待するには筋への直接的な刺激が必要と考えられる。

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