タンパク質 1、タンパク質量の概算

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 運動時の食事ではタンパク質の量が通常より必要となる。
 これは筋肉を作る(または補修する)のもあるが、骨や骨髄、血液なども損傷を受けたり破壊され再生されるのでその分も必要となる為である。
 運動に因る疲労性骨折や運動性貧血などは、タンパク質量の不足が原因の一部を占めると考えられる。

 今回は主に、炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素の話しを進めたい。

 日本で食べられていると思われる通常の食事を例として挙げたいと思う。私の増量期をサンプルとさせていただく。各数値は概算で厳密なものではないので、厳密に計算されたい場合は各位で行ってほしい。

 食事毎のメニューと、行を変えカロリー、()かっこ内はタンパク質とし、タンパク質含有量が少ないものは書かないとする。
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朝食:ご飯大盛り(米1合160g = 350g = 500kcal)、みそ汁、納豆、生卵、牛乳200cc、野菜のおひたし、漬け物、果物200g。
500(10g) + 30 + 80(10g) + 80(6g) + 140(6g) + 30 + 10 + 60 = 930kcal (32g)

昼食:(外食)牛丼大盛り、みそ汁、生卵、生野菜、フルーツジュース200cc。
1000(30g), 30, 80(6g), 30Kcal, 60Kcal = 1200Kcal (36g)

夕食:ご飯大盛り、みそ汁、ハンバーグ200g、冷や奴(木綿1/2丁200g)、野菜のおひたし、漬け物、くだもの200g。
= 500(10g) + 30 + 400(36g) + 140(12g) + 30 + 10 + 60 = 1170Kcal (58g)

合計3300Kcal (126g)
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 と、現在の日本では結構タンパク質は摂れるのである。

 この例では 126g / 3300Kcal = 3.8% となり、目安としてはタンパク質/食事カロリー比で 3.5〜4 %程度のグラム数と考えて差し支えないと思う。
 通常の定食は 800Kcal 位だが、これからすると 28~32g 、中間を取って 30g のタンパク質が摂れると、なるべく簡単に行うのも方法であろう。

(補記 ※これからすると基礎代謝程度を摂るローカロリーダイエットでは、一日の総カロリーを 1200Kcal とするとタンパク質量は 45g となり、女性でも 1g / 体重1kg 程度以下となりタンパク質量は明らかに不足する。ちなみにこのような例では、厚労省発表の第三次改訂日本人の栄養所要量(昭和59年)では 1.2g / 1kg が良いとしている)。
 
 
 さて、今回の例として上げている 3800kcal に対しては、カロリーで 500kcal 不足している。

 これには補食として
1、運動前に 200kcal(タンパク質4g)程度の炭水化物を主とした軽食の摂取(おにぎり1つとオレンジジュース200cc。または脂質の少ないサンドイッチなど)
2、運動直後に摂取する 40g 程度の糖質(体重比0.7g/1kg)と 15g(糖質の1/3。体重比でいうと0.25g/1kg)程度のタンパク質で 220Kcal。
3、就寝前のタンパク質、15g で 60Kcal

 これらを合わせると 480kcal となり、摂取カロリーは 3780Kcal でほぼ合致する。タンパク質量は 160g となる。

 この例でのタンパク質量は 160g となり、体重からの推奨値からすると 40g ほど増えてしまう。
 また、鈴木らによる別な研究での摂取量 3800Kcal の 16% の 152g とすると、8g ほど越える http://hisajp.com/blog/sportsandwellness/2008/05/sports-and-meal-2.html


 この例に沿っていくつか補足して書きたい。

 炭水化物、脂質は通常の食事であれば、脂質の摂り過ぎに気をつければ良いであろう。実際に私が自分で計算したり食事を摂る際は、タンパク質は増やす様に心がけているが、脂質は減らそうと考える事の方が多い。

 また、通常の食事からタンパク質を摂ろうとすると肉類や牛乳が多くなるが、比例して脂質の量が増える傾向にある。

 1日ごとの摂取割合割合だが、食事の内容は外食では変えにくいので、家で摂る朝食か夕食で調整する必要がある。日によってばらつきがあり、また越える日が毎日続く事もないだろうので、それほど気にする必要は無いと思う。
 これが週を通して特定の成分が継続的に越えているようであれば、調整すべきであろう。


 タンパク質に関しては、海外 (PubMed) のエビデンスでは 3g / 体重1kg 程度はほぼ問題無いようである。英文のエビデンスを添付する ( thanks Mr. 1H )。
 Protein and amino acids for athletes. Tipton KD, Wolfe RR.
 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14971434

 サーロインの赤みは 20% 程度のタンパク質含有量だが、そのステーキを 2 pound (2ポンド、900g)食べると180gのタンパク質となるが、日本の運動選手でもこのくらいは1食で摂取するがままある。毎日連続するのでなければあまり気にしなくてよいと私は考える。気になる人は都度調整してほしい。

 また、一回当たりのタンパク質の摂取量は 40g 程度が吸収の限界といわれる事があるが、これはあまり関係ない様に思える。
 人それぞれ体重が異なるし、継続しているとやがて適した消化酵素が発現してくる事も考えられる為である。

 肉類はおよそ 20% がタンパク質だが、焼き肉屋に行くと一皿おおよそ 80g なので、3枚食べると限界を超える事になり消化不良を起こす話しになるが、実際には女性や子供でもその様な事はあまり見かけないというのもある。


 タンパク質摂取量が多くなりすぎても消化不良を起こす事はあまり無いと考えられる。
 しかし(あまり良い例ではないが他に判断基準が無い)、お腹がポコポコいってきたり、ガス(おなら、屁)が多く出る様になったり、便が臭くなってきたら、タンパク質が消化能力を越えていると考えた方が良いかもしれない。

 しかし、このような場合は野菜や繊維質および乳酸菌などが不足している事も多いので、そう考えられる場合は、
- 煮野菜やおひたしにして、繊維質の摂取量を増やす
- こんにゃくや海草類を増やす
- 漬け物を摂る
- 牛乳をヨーグルトに代える
の様に心がけるのも方法と思われる。


 中程度の活動強度の場合の食事では、エネルギー比で、タンパク質が12%、脂質が 20~25%、炭水化物が 63〜68% となっている(前出、三次改訂日本人の栄養所要量(昭和59年))。
 活動強度が上がると、体重 1kg 当たりのタンパク質所要量は 1.2g から 2g へ上がる。また、エネルギー比では、タンパク質と脂質はそれぞれ 16-19%、30-35%に上がり、炭水化物のそれは 49-51% に下がる。 http://hisajp.com/blog/sportsandwellness/2008/05/sports-and-meal-2.html 


 これらから、タンパク質の過剰摂取で私が問題と考えるのは、例えばタンパク質のそれが 40% 程度に高く、脂質と炭水化物が 20% と 40% 程度に低い場合などで、その摂取したタンパク質の多くが活動エネルギーに使われる場合である。
 そのような場合は、脂質と炭水化物の比率をそれぞれ増やすべきであろう。
 これは炭水化物や脂質は比較的直接的なエネルギーになるのに対し、タンパク質のエネルギー化の過程が炭水化物や脂質より掛かることにある。
 そしてこれらは食事内容を改善することで容易に直接的な栄養源と変えられるためである。

 また、中程に書いたが、通常の食事からタンパク質を必要量摂ろうとすると、肉類や牛乳が多くなり、比例して脂質の摂取量が増える傾向にある。活動強度に対して脂質の摂取比率が高いようであれば調整をしたいところである。


 また、3食を全て大盛りを食べるのを毎日続けるのは結構きつい事や、運動前後や就寝前に栄養を補給した方が筋分解や筋合成が働きやすい事もあるので、上記の様に補食を適時組むことや、三時のおやつを1/2食(500Kcal)程度の割合にするなど、体質に合わせて調整する事も大事であろう。

 
 
お勧めの本
http://hisajp.com/blog/recommended/recommend1.html

http://hisajp.com/blog/recommended/recommend2.html


2014/11/09 改訂
2008/05/11 初版

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